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症例集?ちょっと御注意集
【ケジラミ・毛虱・Pthirus
pubis 】
H10年某日、5歳児が母親に連れられて受診。
片眼の瞼を無性に掻くという。細隙灯でみると睫毛に何か虫が
ついている。ベッドに寝て貰って、顕微鏡下で除去。その時点で虫が
ケジラミだとは術者は理解していない。その夜、昆虫辞典で調べて
判明した。初めてその本が役立った。当時は眼微生物辞典
(メディカルビュー社)はまだ上梓されていない。成書によると
「睫毛と共に除去するように」と記載がある。睫毛あるいは皮膚に
強力に引っ付いているため結果的に睫毛と一緒の除去になる。
予想以上に痛がる。睫毛を掴んで、眼瞼皮膚に吸血口器を刺しており容易には抜去できない。
除去後、抗菌剤眼軟膏をつけて処置終了。睫毛に寄生するのはどうやらマイボ−ム腺が
アポクリン腺に組織学的に類似しており分泌物も似た組成を持っているためらしい。
この分泌物にケジラミが引き寄せられる。小児に陰毛はありませんから。再診時に母親に説明。
さすがに面と向かっては性行為感染症 STD とは話せなかった。今思うに頭髪もみておかなければ
いけなかった?
Ocular surgery news, Dec 2001 の parting glance の欄に Patient complains
of the red eye,ichiness が case study として取り上げられていた。眼瞼寄生例で
耳前リンパ節が腫脹することもあるという。(2002.2.4 記)
【東洋眼虫:Thelazia callipaeda 】虫といえば 10年以上前にアルバイト先の病院で、
結膜嚢内でうごめく白い線虫を見つけた。検査室へ提出。東洋眼虫ではとの返事。
当時県内での報告はなく、雌雄の区別と精査を国立予防研究所の影井博士にお願いした。
詳細は・・東洋眼虫の1寄生例、眼臨82:1278-1282,1988.
話は少し変わりますが結膜嚢内を意味する cul-de-sac 。英語での一般的な意味は
御存知ですか?行き止まりとか袋小路とかが最初に記載されています。ちなみに発音は
カルドです。でも行き止まりの一般用語は dead-end みたいですね。
【偽膜】2000〜2001の年末年始は EKC の偽膜除去で明け暮れた。某家族3人に発症し、
内2人は偽膜形成がみられた。初診から5〜7日して偽膜が出来始めました。当初より
ステロイド点眼も併用していました。偽膜は上眼瞼の方が多いようですね。眼瞼の動きが
関与しているのかもしれません。少々出血しても除去できる間はしておいた方が瘢痕は
少なくなりますし、もちろん結膜前垂なども起こしません。一般的には老人や乳幼児に
偽膜形成が多いとされていますが、老人の偽膜はみたことないですね。
(偽膜性結膜炎:あたらしい眼科、 4: 171-176 ,1987.)
【異物感】角膜に傷もなし、眼瞼を反転しても異物なし。二重反転をする前に必ずフルオで
染めてみて下さい。突出はしていなくても、染まる結膜結石は除去してみると異物感が
なくなる事があります。もちろん無麻酔で施行しないと処置の効果はわかりません。
小生はジュラーズを使っています。一時期話題になったスクラブ入りの洗顔剤も
多くの場合、透明〜半透明ですから、フルオで周囲が染まるとより確認しやすくなります。
また一度、眼瞼結膜面にほぼ垂直に奇異なクリプトがあり、反転した状態だと迷入した
抜けた睫毛は奥に入って確認できず、元に戻すと先が出てきて結膜を擦っている症例が
ありました。初診時には確認できませんでした。
【HCL
装用者の角膜内皮炎】HCL を装用している30歳の女性が
朝起きてみると、片眼が霞んでいると受診。装用したまま
寝ていたわけでもない。瞳孔領中央付近の4mm位の範囲に
円形の著明な角膜実質浮腫。結膜充血、毛様充血はなし。
フルオでは染まらない。前房内に細胞やフレアなし。
角膜後面沈着物が中央のみに存在。ヘルペスの既往なし。
ステロイド&抗菌剤の点眼で翌日には軽度の浮腫のみ。
治療翌日のスペキュラーでは著明な内皮浮腫を示す内皮の
reversal pattern 。大橋の分類の3型:急性中央部浮腫型に該当。原因はわからないまま治癒。
【糸状結膜炎】異物感で受診した患者の瞼結膜にまさしく角膜上の
filamentosa と同様な
所見を最近2例経験しました。結膜上皮も角膜上皮と同じように strands を形成するという
ことですね。角膜炎と同じ処置で治癒しました。記載後に似たような症例の報告がありました。
芳賀照行:白内障術後に眼瞼結膜にみられる糸状物. 眼臨医報,95:480-482,2001.
【ベーターブロッカー】初処方の前に喘息・循環器疾患・DM などの有無を確認しただけでは
不十分です。処方後の再診の時はもちろん、半年や1年後にもまた聞いてみましょう。
2人程、その後に不整脈が出てホルター心電図などで精査後に薬を貰いはじめたという症例が
ありました。
【化粧品】エピスタが数少ない緑内障治療薬だった頃、代謝産物が結膜下に沈着する
所謂 epinephrine stone をよく見かけました。(ピロカルピンオキュサートも
一部の患者さんには好評でしたが、過去の薬になりました。Delivery system の走りでした。)
話を表題に戻すと、下眼瞼結膜下にバウダー類似の色調の異物に気付かれたことはありませんか?
「化粧品と目」の文献ってあまりみかけませんね。
CLと化粧品の兼ね合いは2000年の臨眼でありましたが・・・

【PPD : Posterior polymorphous dystrophy 後部多形性角膜ジストロフィ】
約20例を経験しています。コンタクトレンズの処方を希望されて来院された方の
場合には注意が必要です。 Specular microscope で内皮撮影し、2000cells/mm2
未満の場合は処方しないようにしています。詳細は下記を御参照下さい。
写真は小さな水庖の集蔟した所謂 grouped vesicles です(平成11年臨眼、写真展)。
*文献
1) 後部多形性角膜変性症の1症例、眼臨 82:248-252,1988.
2) 後部多形性角膜変性症に類似した1症例、眼臨 83:2251-2255,1989.
3) 後部多形性角膜ジストロフィと posterior corneal vesicles、眼紀 48:66-70, 1997.
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